《香織》正直なお腹

これは聞いてあげたほうがいいだろう。


「お腹、空いてるんですか?」

川端さんは、
「いや、別に…」と答える。

しかし、この狭い空間だ。
さっきから、川端さんのお腹が小さく、くぅくぅと音をたてているのが聞こえる。

「座ったらどうですか?長くかかるみたいだし。」

「あぁ」

「お昼、まだなんですか」

「いや…」

ぐうっ

慌てて川端さんはお腹を押さえる。

香織はカバンから飴を取りだし、渡した。

「営業部忙しそうですもんね。」

「気をつかわせて悪いな」

と言いながら川端は飴を受け取った。