《香織》お弁当

「え?弁当?」

川端さんは驚いて、
「いや、悪いだろ?」
と断る。
やはり恥ずかしいようだ。

「そろそろ出られると思うし…」

ぐぅ…

「もう腹へったの通りすぎたから…」

ぐっ

「お腹、聞こえてますよ?」

「え?いや、…」

「我慢してますーって音」

「…うるせーな」

「出たらまたすぐ仕事戻らなきゃ行けないんじゃないですか?そしたら食べられないですよ」

「…」

香織が弁当の蓋をあける。

「本当に大したものじゃ無いんですけど、お腹の足しには…」


ぐうぅーぐぐぐぅきゅるるるー…


弁当のにおいに刺激されたのか、川端の腹が盛大に鳴った。

川端さんは真っ赤になる。

「ほら、あんまり我慢してると具合悪くなっちゃいますよ」

「…悪いな。」

川端さんは弁当箱を受けとると、
あっという間に完食した。