《香織》諦め
1時間後。
「そっか!内村と同期か。あいつも頑張ってるよ」
お互いの部署の同期の話などをする中で、かなり打ち解けて気まずさは減っていた。
香織が、
「今も割りと仲良くて、この間はみんなで焼肉いったんですけど、」
と話すと
「焼肉かぁ…」と川端はゴクンと喉を鳴らした。
そして、素直な体から悲鳴のような空腹音が響いた。
「あ、ごめんなさい」
思わず香織が謝ると、
「いや、謝ることじゃないだろ」
と川端さんが苦笑いを浮かべる。
やはり営業部は忙しく、朝から晩まで慌ただしいので、最近は昼にガッツリと食べる以外、朝食や夕食はごく簡単に済ませてしまっているとのことだった。
「いつも昼前にはエネルギー切れ状態でイラついてて…情けないよな、これを機に気を付けるわ」
ぐぐぐぅ。あぁ、腹へったぁー…と、子どものようにつぶやく川端さんは、もう空腹もお腹の音も隠す気が無いようだ。
香織は、「あの、これ、簡単なものすぎて恥ずかしいんですけど…」と、包みを取り出した。